血だまりの少女
泣きながらオーブンの扉を叩く谷原。
「何であんな所に……」
谷原の調理台の上にはオーブントレーが置かれていた。
クッキングシートが敷かれたオーブントレーには生のクッキー生地が等間隔で並んでいる。
時間制限などの指示は書かれていなかったが、どちらかが作り終えた時点でタイムアップだったのだろう。
私は思い出しながら作っていたから、手際が良かったとは言えない。
だが、谷原は得意だと言っていたし、時間は充分にあったはずだ。
おそらく、オーブンの使い方が分からなかったのだろう。
早く助け出さなければ。
私は鉄格子を掴み、持ち上げてみる。