血だまりの少女
《5》
炎のせいで部屋の温度が上がる中、私と赤野は水道と鉄格子の間を往復していた。
汗が顎からポタポタと滴り落ちる。
何度も赤野と協力してオーブンを包み込む炎に水を掛けたが、全くの無力だった。
結果、谷原はオーブンの中で焦げた肉が付着した骨になってしまった。
私と赤野は無言のまま、自分たちの足元を見つめた。
死を宣告された者を助ける事は出来ないのだろうか。
ゴゴゴゴゴゴォ……
ゆっくりと音を立てながら、目の前の鉄格子が天井に消えて行く。
カチッ……
どこかでカギの開く音がした。