血だまりの少女

貯蔵庫を出て、水道から水が出るか確認する。

もしもワインボトルに入っている液体が水ではなく、無臭の何か別の液体だった場合、他の場所で使うかもしれないという可能性があるからだ。

だが、水道はいくら蛇口を捻っても、一滴も水は出てこなかった。

私はこの部屋の出口である扉に手を掛ける。

一度だけ振り返り、オーブンの中で溶け焦げてしまった谷原を目に焼き付ける。

赤野は見ない様にしたのだろう、私が谷原の死体を見つめていると分かると、即座に視線を扉に向けた。

扉を少しだけ開けて、廊下に顔を覗かせる。

見回りの甲冑が廊下に見当たらないのを確認すると、急ぎ足で花瓶の部屋に向かった。

私が扉を開けて、赤野が扉を閉める。

部屋の様子は、先ほど部屋を出る時と何も変わっていなかった。


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