血だまりの少女

小さなテーブルに置かれた花瓶には、相変わらず元気の無い黒バラが一輪挿さっていた。

「……入れるわね」

コルクを抜き、ワインボトルを傾ける。

ドッドッドッドッ……

色の付いたワインボトルのせいで液体の色が分からなかったが、出てくる液体は無色透明だった。

ワインボトルの中の水を半分ほど注ぐと、花瓶は水で満たされた。

カチッ……

どこかでカギの開く音がした。

「きっと、さっきの右側の扉ね」

私は中身が半分になったワインボトルに栓をして、花瓶の隣に置いた。

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