君とのキスの意味
─翌朝。朝ご飯を食べてから、俺の車が停めてある駐車場まで、母親に車で送ってもらう。

「お駄賃!」と右手を差し出す母。

「出世払い!」とその掌をパチン!と叩いておいた。

あれ買ってこい、これ取りに行け、とすぐに人の事を使うくせに。お駄賃なんて、もらった事ないぞ。

水野君の車は、まだ停まっていた。昨日の様子だと、今朝は二日酔いで辛いだろう。

昨日、そんなに酔っているつもりはなかったが、一晩寝て冷静になり、自分のやってしまった事に頭を抱えていた。

酔っている水野君に、キスしてしまった・・・

自分の気持ちは、気付かないようにしていたが、昨日で、はっきりと自覚した。

多分・・・確実に、俺は水野君の事が好きだ。

だから、昨日の彼女に、こう“ 想い ”が溢れてしまったというか・・・

見苦しい言い訳だけど。

水野君の気持ちがわからない。俺の気持ちも伝えてない。泥酔している相手に、なんて事を・・・

「尊敬している」と言ってくれた。そんな事を言われたのは初めてで。「好き」と言われるよりも、キタかもしれない。

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