君とのキスの意味
「白石さんがダメじゃなくて、彼女がいいから・・・」

自分の想いを言葉にするのは、難しい。相手の想いを受け止めるのも・・・

学生の時は、そういう事から逃げようとしていた。いや、対面してもいても心の中で、半分以上は逃げていた。

相手の言葉も、想いも、きちんと聞いていなかった。その場を、なんとなくごまかすような事ばかりしていた。

相手の想いを受け止め、自分の想いを伝え、できるだけ相手を傷付けない。

大人になっても、そんな『うまい言葉』は見つけていない。

結局、自分の想いを正直に伝えていくしかないんだ。それが、相手を傷付ける事になっても・・・

「断られるのは、なんとなくわかってました」

白石さんが、顔を歪めて笑った。

「ごめん・・・」

首をフルフルと振って、白石さんは話し始めた。

「物心ついた頃から『かわいいね』とか『きれいだね』とか言われました。小さい時は、褒められて嬉しい!ぐらいに思ってました」

俺は、白石さんを見て頷く。

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