君とのキスの意味
「いつ頃からか、顔も名前も知らないような人から告白されるようにもなったりして。自分は普通にしているだけなのに、いつでも注目を集めてしまう事が、煩わしくなってきました」

その気持ちは、よくわかる。自分は変わったつもりはないのに、周囲がどんどん変わってしまう。

「私がいるだけで、一緒にいる人まで目立ってしまう。その事を、すごく気にする人もいました。気が付けば、私がお付き合いする人は、もともと目立つような人とか、ものすごくマイペースな人とかになってました」

白石さんの言う事は、なんとなくわかる。“ 注目を集めてしまう ”という部分では、男の俺より、女の白石さんの方が、大変な思いをしたのではないだろうか。

「だから・・・塚本さんに“ 彼氏のフリ ”をお願いすると決めた時、自分のこれまでを考えて『あり』だなぁと思いました。すみません!お願いする立場なのに、勝手な事、思ってて」

俺は思わず苦笑いしながら、首を横に振った。

「でも、塚本さんとお話していくうちに気付きました。私はもっと違うものを、相手に求めていたって。私の話を聞いてほしい。私をもっと見てほしい。私の中身も全て見てほしい・・・」

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