君とのキスの意味
白石さんは目を伏せ、小さく笑った。

「みんなが思っている、きれいな『白雪姫』を、ずっと演じていたような気がします。・・・塚本さんなら、ありのままの自分をわかってもらえるんじゃないかって、そう思えたんです」

白石さんは、ゆっくりと息を吐いた。

「白石さんが思っているより、ちゃんと見てくれている人が、白石さんの周りにいると思う」

白石さんは、首を傾げた。

「白石さんには、言わないでほしいと言われたけど。今日の午前中、相田さんから電話をもらった」

「えっ⁉相田って、久美ですか⁉」

俺は頷いて、野球大会の時にも、相田さんと話した事を伝えた。

「そうだったんですか・・・」

9時30分頃、知らないケータイ番号から着信した。間違い電話かも、と思いながら出たら、相田さんだった。

先週、俺が白石さんに電話をかけた時、相田さんも一緒だったそうだ。

白石さんの隙を見て、こっそり俺の番号を自分のケータイに登録したそうだ。

この電話が終わったら、すぐに消去します!と付け加えた。

「今回、雪乃が塚本さんに“ 彼氏のフリ ”をお願いしたのは、私がそそのかしたんです。雪乃は、決してそんな図々しい子ではありません!そこの所、くれぐれもお願いします!」

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