君とのキスの意味
この話を始めた頃には、動き出していた彼女の手。

季節が変わり、半袖を着るようになって、偶然彼女は気付いたそうだ。

俺の二の腕の内側が、ものすごく触り心地がいいと…

「柔らかくって、すべすべで、気持ちいい…男の人の身体に、こんな触り心地がいい所があったなんて……」

彼女は少し、うっとりとした顔で言った。

沙映ちゃん、そのセリフだけを聞けば、一体どこの事を言ってるのだろうと、勘違いしそうになるんだけど。

俺の微妙な気持ちなんか関係なく、彼女の手はやわやわと動く。

最初は、人指し指の指先で、そこを確認するように、ゆっくりと撫でていく。

確認が終わると、人指し指から小指までの4本の指で撫でる。

優しく、ゆっくりと……上から下へ、下から上へ。まるで羽で撫でているように、微妙なタッチで、何度も、何度も……

それに満足すると、親指も使って優しく握る。4本の指を、やわやわとバラバラに動かす。

肌の感触を楽しむように、少しずつ移動しながら。

そこまで終わると、また人指し指の指先で撫でる所から始まり、先ほどまでの事が繰り返される。

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