君とのキスの意味
俺の二の腕を触っていた沙映の手首を、しっかりと掴む。

沙映はビックリして、身体が固まる。

強く沙映の手首を掴んだまま、沙映の手を、俺の股間にグッ!と押し付けた。

「ここが!もし抑えが効かなくなったら、沙映が宥めてくれるんだよな?」

パッと顔を上げた沙映と目が合い、フッ…と薄く笑って、彼女を見下ろした。

ボッ!と効果音がつきそうな勢いで真っ赤になった彼女が、慌てて手を引いた。

「もっ、もう!塚本さんのバカ!」

こういう時の彼女は、使える言葉が、極端に少なくなる。

「ん?バカ?俺が?」

わざとらしく、小首を傾げてみた。

「…そっ、そうです!ヘンな事を言う、塚本さんはバカです!」

真っ赤になりながらも、上目遣いで俺を睨みながら言う沙映。なぜか、敬語になってるし。

そんな沙映も、可愛く見えるんだから、俺はかなり重症なんだろう。

「沙映が、ヘンな事をするから、俺の股間…」

「わ~っ!もう、言わないでいいから!」

慌てている沙映がおかしい。実際は、まだ平常なままだったのに、焦って、よくわからなかったんだろう。

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