君とのキスの意味
初めての出会い
6月半ばの金曜日─

週末だからと、浮かれてばかりもいられないが、それでも、夜の予定を考えて、仕事を明日に廻そうかと思っていた時・・・

ケータイが震えた。表示されている着信相手を見て、舌打ちしたい気持ちを抑えて、ケータイに出た。


「──はい。では、お伺いします。失礼します」

ケータイを持ちながら、つい頭を軽く下げてしまう。話が終わって、顔を上げれば、営業一課のメンバー全員( 当然俺以外)6人が、俺を心配そうに見ていた。

「園田(そのだ)課長の呼び出しか?」

高野( こうの )主任が、真っ先に口を開いた。間違えた。この人だけは、おもしろがっている。

「はい。聞きたい事があるそうです」

「今からですか⁉」

壁に掛かってている時計で、時間を再確認したアシスタントの村瀬( むらせ )君が、目を吊り上げながら言う。

「今日、聞いておかないと、気になって週末ゆっくりできないそうだ」

そんな怖い顔をしたら、せっかくのきれいな顔が台無しなのに。

「なんか、準備する資料とかある?」

もう一人のアシスタントの丸岡( まるおか )さんが、いつも通りの気遣いをみせてくれる。

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