君とのキスの意味
今日は、村瀬君に付き合おうと決めていたから。

「私も付き合うよ」と丸岡さんが言ってくれた。丸岡さんの気遣いには、いつも助けられている。

１時間程して、部長・課長が次の予定があると退席すると、村瀬君が本音を見せ出した。

「私、本社でのアシスタントの仕事に、やりがいを感じてました！」「どうして、私なんでしょうか？」

潤む瞳で、唇を震わせながら訴える村瀬君。

時には俺の腕にすがるように、時には膝に手を置かれ、じっと見つめられたり・・・

俺と村瀬君の距離が、いつもよりずっと近い。

村瀬君の瞳を見返しながら、それでも、彼女には、何も感じない事を、確認できてしまった・・・

横目で、時々水野君の様子を見る。やっぱり、いつもより元気がない気がする。

村瀬君の今の姿を見たら、居心地悪く感じるのも当然だろうが。

勧送迎会開始から、２時間程経ち、ここを出る事になった。

少し足元がふらついている村瀬君に

「送って行くよ」

と声をかけたら、少し目を見開た後、小さく頷いた。

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