君とのキスの意味
ハンドルを握る手に、少し力が入った。

「村瀬君、今まで中途半端な態度で、ごめん。俺は、君の事は、職場の同僚としてしか見れない」

村瀬君の肩が、ピクッ!と動いたのがわかった。

「どうして?私と美帆の、何が違うんですか⁉」

「村瀬君と美帆は、違う人間なんだから、違って当然だ。それは、どちらが良いとか悪いとか、上とか下とかって事じゃないんだ」

フゥッ!と息を吐く。

「ごめん。その、うまく言えなくて。村瀬君は、魅力的な女の子だと思うけど・・・」

こういうシチュエーション、一番苦手なんだよ。相手が、求めていない答えを言わなくちゃいけない。でも、中途半端な優しさを見せる方が、ずっと残酷だという事も、これまでの事で学んだつもりで・・・

「例えば、俺が一番好きなのはラーメンなんだよ。うどんもパスタも良さはわかるけど、やっぱり一番はラーメンで、それは変わらない。俺にとって村瀬君は、パスタなんだと思う」

この例えって、どうなんだ!?でも、もう言っちゃったし・・・

村瀬君は、クスッと笑った。

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