君とのキスの意味
「塚本さん、ズルい!そんな事言うなんて・・・」

村瀬君の瞳から、涙が零れた。両手で顔を覆って、肩を震わせながら泣いている。

俺はグッ!と両手で拳を握った。今は、慰めない。でも、これから、村瀬君が仕事で落ち込むような事があったら、全力で応援するから!

しばらく涙を流した後、村瀬君は手の甲で、涙を拭いた。

「私が、どうして塚本さんを好きになったか、わかりますか?」

「いや・・・」

「私が、一課に配属されて、夏ぐらいでした。取引先と飲み会があって・・・」

「うん」

「そこの課長、前々から女をバカにした感じで、イヤなヤツでした。やっぱり飲み会でも『男探す為に入社したんだろ!』とか『君は夜の仕事の方が向いてるんじゃないか』とか、本当に最低でした!」

村瀬君の強い口調に、怒りが伝わってくる。なんとなく、思い出した。あの時は俺も、腹が立った。

「塚本さんが隣に行った時も、私の事『笑ってお酌するぐらいしか、脳がないでしょう』なんて言うから、私、悔しくて泣きそうでした」

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