君とのキスの意味
野球大会
─月曜日。高野主任達と話しているうちに、今度の土曜日、野球大会がある事を思い出した。

主催は、白石さんが働いている会社だ。まさか、このタイミングで・・・

確かにここは『田舎』だが、世間は狭かった。白石さんが、野球大会に関わるとは限らないが、俺とは、顔を合わせたくないだろうなと思っていた。

野球大会の前の日の金曜日、ついつい、また水野君をからかってしまった。女の子をからかうなんて、自分はそんなキャラじゃないと思っていた。

ただ・・・からかった時の彼女の表情を思い出すと、またあの表情( かお )が見たいと思ってしまう。

顔を赤く染め、瞳を潤ませ、艶のある柔らかそうな唇は、何かを言いたそうに薄く開かれている・・・

水野君に、そんな表情をさせているのが俺だと思うと・・・

余裕ぶって「ニヤッ」とは笑って見せているが、彼女の表情に囚われているのは俺の方だ。

全く・・・自分で何がしたいのかわからない。・・・それでも、彼女に近付いてしまう。

水野君は、どう思っているんだろう?怒っている?・・・嫌われている?

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