君とのキスの意味
白石さんから、少し距離をとるように歩いて行く。白石さんは少し歩いて、中央の通路から、脇に逸れていった。

滑り台やブランコのある開けた場所についた。子ども向けの公園のようだ。

いくつかある木のベンチの前まで来ると、白石さんは立ち止まり、クルッと振り返った。

俺が白石さんのそばまで行くと、勢い
よく頭を下げた。

「先日は、本当にありがとうございました!今日も、こんな風に来ていただいて、すみません!」

「うん。大丈夫だから・・・」

俺は、白石さんの勢いに少し面食らった。白石さんは、ベンチに座る事もなく話し始めた。

「時間もないので、単刀直入に言います。塚本さん、私の“ 彼氏のフリ ”をしてください!」

再び、勢いよく頭を下げる。

俺は、ポカンとしてしまった。“ 彼氏のフリ ”・・・?

俺のそんな表情(かお)を見て、白石さんは、ゆっくりと話してくれた。

少し前に加賀さんに「好きな人ができた」と言ってみた。が、「そんなの関係ない。俺が君の事を好きだから」と、全く相手にされなかった。

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