君とのキスの意味
あれから、7年は過ぎたのか・・・と思いながら、その辺は、全く成長していない自分が情けない。

一人で昔の記憶に浸っていたら、白石さんがスッと顔を上げた。

「陽平さん」

突然名前を呼ばれた事にびっくりして、思わず白石さんの顔を見る。

白石さん、背が高いんだ・・・

思ったよりも間近にあった白石さんの瞳と、見つめあってしまった。

水野君の顔は、もっと低い位置にあるから。いつも俺の事を、上目遣いで見上げている。

・・・なぜ、ここでまた水野君?

自分の中で湧いた疑問を考える前に、白石さんが言った。

「付き合っているのに、名字で呼び合うのは変ですよね?私『陽平さん』て呼ぶ事にします」

俺から離れて、パーカーのポケットからハンカチを取り出す。涙を押さえながら、恥ずかしそうに笑いながら言った。

「そうか。じゃあ俺は『雪乃さん』て呼びます」

「あっ!敬語も変ですよね。これからは、敬語なしで話しましょう。・・・話そう」

「・・・俺、自信ないです。っ!ないな」

なんともぎこちない会話に、2人で苦笑した。

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