君とのキスの意味
加賀さんが成績優秀だという事は、雪乃さんからも聞いていた。現在は、銀行に勤めていて、その仕事ぶりから、上司からも一目を置かれているそうだ。

「そんな人だから、ヘタな人を雪乃の彼氏だと言って紹介しても、諦めてもらえないと思ったんです」

「いやあ・・・俺なんかでいいのか、俺はますます不安になったけど」

「塚本さんなら大丈夫です!働いている会社もしっかりした所だし、少なくとも、見た目は加賀さんより、断然塚本さんの方がカッコいいですから!」

両手で握り拳を作った相田さんに、力強く励まされた。

「ありがとう」苦笑しながら、とりあえずお礼を言った。

「雪乃、すっごくきれいなのに、性格も優しくて。もう、優し過ぎなくらいで、周りに気を遣ってばかりなんです!」

「そうだね」俺が頷くと、相田さんが、それまでの勢いを落とした。

「塚本さんも、そう思いますか?雪乃は、きれいなだけじゃなくって、性格もいいって思ってますか?」

「そんなに話した事はないけど、相田さんが言うように、優しい人だと思う」

相田さんはニッコリ笑った後、再び頭を下げた。

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