君とのキスの意味
ホッとしたような、残念なような・・・

個人ケータイに、着信がある事に気付く。

「雪乃さん・・・」

一つ、息を吐く。今、一番考えなきゃいけないのは、こっちかもしれないが・・・

野球大会以降、雪乃さんと連絡をとって、加賀さんと会う日を決めている。

折り返しかけてみれば、会う日の確認だった。

「急だけど、明日でもいい?」

「ああ、大丈夫」

「じゃあ、10時半にあの本屋さんの駐車場でいい?加賀君とは、近くのカフェで11時に待ち合わせしようと思ってるんだけど・・・」

「うん。それでいい」

少しだけ間をおいて、雪乃さんが言った。

「塚本さん、本当に、ごめんなさい。そして、ありがとう・・・」

詰まりそうになりながら、ゆっくりと言葉を吐き出した雪乃さん。

もしかして、泣いている?

「俺がどこまでてきるかわからないけど、がんばるよ」

それぐらいしか、言えないけど。

たくさん話した訳ではないが、ケータイのやり取りで、敬語なしの会話もだいぶマシになってきたと思う。

とりあえず、目の前の事に集中しよう──

そう思う事で、ざわつく気持ちを抑えた。

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