君とのキスの意味
俺と雪乃さんは、静かに加賀さんの言葉を待った。

やがて、加賀さんがゆっくり目を開ける。フゥ~ッと大きく息を吐き出した。

「中学校の入学式で、初めて雪乃を見かけて『なんてきれいな女の子なんだろう』と、一目で惹かれた。多分・・・いや、間違いなく俺の初恋だ」

まるで中学生にでも戻ったように、恥ずかしそうに加賀さんは笑った。

「雪乃は、当然のように男子からは人気があったけど、女子からはずっと浮いていて・・・クラス委員なんかもよくしていた俺は、なんとかしたかったけど、どうしていいかわからなくて、歯痒かったよ」

雪乃さんは、少し目を見開いた。初めて聞く加賀さんの想いなんだろう。

「そんな雪乃に、いつも理子が寄り添って・・・さりげなく助けてた。理子も、よくクラス委員をしていたけど。俺は、ただ勉強ができただけ。理子は、みんなに慕われていた」

結局、同じ高校に進学した3人。中学の時と同じような感じで3年間を過ごす。

雪乃さん理子さんは、県外の大学に進学し、加賀さんは地元の国立大学に進学した。ここで、3人の縁は切れたと思った。

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