君とのキスの意味
大学を卒業後、加賀さんは銀行に就職した。理子さんも、大学を卒業後、地元に戻って就職する。

加賀さんが働いていた銀行で、理子さんと再会する。それから何度か顔を合わせ、一緒に食事に行く事になった。

「理子と再会した時は、大学の時から付き合っていた彼女がいたんだ。理子にも、その事は話していた。就職して、忙しくなって、結局一年もしないうちに別れたんだけど」

加賀さんと理子さんの“たまに会って食事に行く”だけの関係は、2年以上続いた。

そんな時、県外に就職していた雪乃さんが帰ってくる事を、理子さんから聞く。

「その事を聞いた時、忘れていた・・・というより、閉じ込めていた雪乃への想いが、どんどん強くなってきて、自分でも抑えられなくなった」

中学生の時も高校生の時も、自分は子供で、寂しい思いをしている雪乃さんを、励ます事も、支える事もできなかった。

でも、あの頃とは違う。大人になった今の自分なら、雪乃さんを支え、守る事だってできるはずだ。

「具体的な事は言わなかったけど、雪乃が辛い思いをした事は、理子から聞いていた。だから、今度こそはって思った」

雪乃さんの情報を得る為に、まず理子さんに近付いた。

< 84 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop