君とのキスの意味
「あの時の俺は、どうかしてた・・・」

加賀さんが思った通り、いや、思った以上に雪乃さんに近付く事ができ、驚くほど早く、雪乃さんと男女の関係になった。

「早く・・・早く理子と別れなければと思った。今度会ったら、別れ話をしよう!いつもそう思って理子と会うのに、理子の顔を見たら、何も言えなくなった・・・」

眉間にグッとシワを寄せ、短く息を吐く。その時の加賀さんの苦悩を見るようだ。

「俺が何も言わないから、雪乃が不安を感じでいるのもわかっていた。『付き合おう』せめて一言そう言えば、雪乃は安心するはずだ。そう思うのに、結局何も言えなかった・・・」

加賀さんが迷っているうちに、加賀さんと理子さんが一緒にいる所を、雪乃さんに見られてしまった。

「加賀君」

俯く加賀さんに、雪乃さんが声をかける。

「私、加賀君と2人だけの時間も楽しかった。けど、理子と加賀君と私。3人で話している時の方が、もっと楽しい!そう気付いたの。加賀君もそうでしょ?」

加賀さんは、少し目を見開いて雪乃さんを見つめた。

「加賀君も、私も。理子の事が大好きなの。理子といると、優しい気持ちや、温かい気持ちになれる。そう思うでしょ?」

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