君とのキスの意味
「はい。塚本です」

「塚本、遅い!無視するつもりだっただろ?」

「・・・」

高野主任には、敵わない。予想通り、飲み会のお誘いだった。それも、今日の7時からだという。

「今日、ですか?いや、友達と・・・」

今日の今日だったら、断っても不自然じゃないよな?

「どうせ予定ないだろ?」

高野主任、俺の話、聞いてないですよね。

「俺の誘いを断ってもいいけど。次の園田課長の急な呼び出しは、お前が行けよ」

「えっ⁉」

6月に園田課長の急な呼び出しを受けた後、高野主任が俺に言った。

「次、園田課長から呼び出された時は、俺に振れ」

「えっ⁉俺はありがたいですけど・・・大丈夫でしょうか?」

「大人同士で話をするんだから、大丈夫だ」

そう言って、ニヤッと笑った高野主任。

そういう事で7月以降、俺は、園田課長の急な呼び出しを受けていない。

通常の営業担当は、変わらず俺なので、7月に呼び出しを高野主任に振った後、少し緊張しながら園田課長と対面した。

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