君とのキスの意味
「えっ⁉」と言った後「大丈夫?」と水野君の顔を覗きこむ。

「だいじょうぶれす!」

「・・・大丈夫じゃ、なさそうだけど」

トロンとした瞳で、ニヘラと頬を緩ませて笑った水野君。

「!・・・こういう時の方が、訊きやすいか・・・」

可愛い・・・こんな風に力の抜けた水野君は、久々だよな。“ 壁 ”の存在も感じない。

水野君に話が聞いてもらえるチャンスかも・・・

「水野君、宮前と何か話したよね?」

水野君は俺をジッと見つめて、コテンと頭を横に倒した。

「いや、そんな可愛い顔をされても・・・ほら、休憩室で・・・」

「っ!新発売のチョコの事!」

「じゃなくて・・・」

「っ!新発売のカップ麺の事!」

「食べ物の事じゃなくて・・・」

「っ!!新発売のシャンプーの事!」

俺は、ガクッと項垂れた。宮前、お前は水野君と何を喋ってる・・・お前は、女子かっ!?

「・・・訊きやすいと思ったけど、やっぱ無理か・・・」

今日なら聞いてもらえると思ったのに、ちょっと酔いすぎてるか・・・

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