空に舞う桜



「うわああああ!!」




その時、目の前を1人の浪士が横切った。




ハッと我に返り、急いで後を追うと、池田屋の外に出た。




浪士は叫びながら、副長の方へ斬りかかって行く。




くそっ!副長に手出しはさせぬ!!




俺は、勢いをつけて浪士の左胸を突いた。




また、血を浴びた。




その瞬間、俺の全身がゾクッと震えた。




「え……」




体の震えが止まらない、だが不思議なことに不快感はない。




むしろ、心地がいい……




『さあ、認めろ。

 血を浴びるのは、快感だろう……?』




声が、頭に響く。




「快感、なのか……?」




ポツッと零した、その時。




倒れた浪士の先に、土方さんともう1人の姿が見えた。




あれは……




「佐渡……?」




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