空に舞う桜
だけど、その人はとても弱っている様で、ヨロヨロと歩くと、すぐに膝から崩れ落ちてしまった。
「だ、大丈夫ですか?」
ちょっと怪しいけど、ここまで弱々しいと、心配になる。
私は、黒ずくめの人に駆け寄った。
近づいてみると、その人は片腕から血を流していた。
「大変!血が……!」
私は急いで懐から手ぬぐいを取り出し、その人に渡そうとした。
だけど、その人は私を睨みつけた。
そして、いきなり無垢を向けた。
「え……」
膝をつき、肩で息をしているその人。
だけど、その目は間違いなく、私に対しての敵意で満ちている。
「どうして……」
「……それ以上、俺に近づくな」
口元まで黒い布で覆っているから、少し籠っているけど……
低くて澄んでる、素敵な声……
って、そんな事言ってる場合じゃない!
というか、刃物向けてる相手によくそんな呑気な事思えたわね、私!!