空に舞う桜
「だ、駄目ですよ!
早く手当てをしないと!」
そう言うと、その人は少し目を見開いた。
でも、すぐにまた私をキッと睨みつけた。
っこ、怖い……
正直、体は震えていたけど、やっぱり放っておけない。
「……俺に構うな」
「い、嫌、です。
怪我をしてる人を、放っておけませんから」
恐怖から、声も震えてしまった。
すると、無垢を持つ手が少し緩んだ。
私はその隙に、勇気を振り絞って強引に傷口へ手拭いを巻きつけた。
よし!これでオッケー!!
「これで、少しはマシになると思いますから」
「……ありがとう」
「でも、酷くなるかもしれませんから、早く病院に行ったほうがいいです」
「びょういん?何だ、それは」
「え……」
病院は病院だけど……
もしかして、知らないの?この人。
一般人なら、誰でも分かると思うんだけど……