空に舞う桜
「……嫌です」
ズキズキと痛む肩を押さえながら、私は侍達の前に立つ。
怖くて体はガタガタ震えていた。
「いくら、リアルな演技が必要でも、この人は怪我をしています。
カメラを止めてください。
まず、手当てをしてください!」
「何の話だ」
もうこれ以上何も言えなかったけど、私はキッと侍を睨んだまま、私は絶対に目を逸らさなかった。
「もう1度言う、そこを退け、女!!」
「い、嫌です!!」
私が強く言った次の瞬間、侍が大きく刀を振りかぶった。
斬られる!
そう思って咄嗟に目を瞑った瞬間、後ろにグイッと腕を引かれた。
「え……!」
驚いて目を開けると、私の前にあの人が現れた。
「下がっていろ」
あの人は短くそう言うと、侍の刀を小さな無垢ではなく、腰に差していた刀で受け止めていた。
「おのれっ……!」
あの人は、肩越しに振り返り、私を見た。