空に舞う桜


「君、悪いが少し目を瞑っていられるか」




「え?は、はい!」




私は言われた通りに目を瞑った。




「ありがとう」




その言葉を最後に、その人は何も言わなくなった。




代わりに聞こえてきたのは、刀のぶつかり合う音と、侍達の苦しそうな声。




だ、大丈夫かな……




しばらくすると、何も音がしなくなった。




「……あの、目を開けてもいいですか……?」




「ああ、いいぞ」




ゆっくりと目を開けると、背を向けたあの人と横たわっている侍達が目に入った。




え、どうしたの、お侍さん達……




なんで、倒れてるの?




すると、侍達の地面が赤く染まっているのに気付き、やっと彼らが血を流しているのを理解した。




「っ!!」




私は、思わず口を塞いだ。




まさか……殺しちゃった、の……?




< 23 / 128 >

この作品をシェア

pagetop