空に舞う桜
「君は、あまり見ないほうがいい」
「……殺した、んですか……?」
恐る恐る聞くと、あの人は振り返らず
「ああ」
と、短く答えた。
その答えに、私は息を呑んだ。
あの人、人殺しだ。
どうしよう、殺人犯だ。
そう思ったら、足がカタカタを震えてきた。
「さあ、次は君だ」
「!!」
あの人が、私に近付いてくる。
嫌、私、殺されちゃう……!
私はクルッと背を向け、逃げ出した。
「あっ、おい!」
逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ!
とにかく、私は急いで走った。