空に舞う桜



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人生初めての告白でフラれた翌日でも、朝というのは変わらずやってくる。




泣きすぎて、少し腫れた目を押さえながら、私は通学路を歩く。




うう、ヒリヒリする……




昨日、初めて失恋を経験した私、佐渡 千里(さわたり ちさと)。




都市から少し離れた高校に通う、二年生です。




「千里ー、おっはよー!」




ボフッと後ろから抱きつかれ、私は少し前によろける。




「きゃっ……!」




グッと踏ん張り、体勢を直してから、私は後ろを振り返った。




「びっくりしたぁ。

 おはよう、美咲ちゃん」




そう言うと、抱きついてきた私の友達、紺野 美咲(こんの みさき)ちゃんは、ニッと笑った。




「千里は相変わらずちっちゃいねー。

 抱きつきやすいよ」




「むう、その内伸びるもん!」




嬉しそうにニコニコと笑う彼女は、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。




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