空に舞う桜


と、意気込んで洗い出したのはいいものの……




男の人の着ている物だから、大きいものばかりだし、量は沢山あるしで、あっという間に体力を持っていかれてしまった。




「うう……」




手が痛い……疲れた……




これは、けっこう大変かも……




「大丈夫?

 まあ、この量じゃけっこう体力使うよね……」




「へ、平気です!

 これも、私の仕事ですから……」




藤堂さんにも手伝ってもらって、とにかくジャブジャブ洗った。




ようやく半分くらい終わったところで藤堂さんが口を開いた。




「名前、千里だっけ。

 年はいくつ?」




「え……17です」




「あ、じゃあ俺とそんなに変わんないじゃん。

 敬語じゃなくていいよ」




「えっ、でも…点」




「いいから。

 あ、名前も苗字じゃなくていから。

 俺も千里って呼ばせてもらうし」




「うえっ?!

 わ、分かった……」




いきなり、名前で呼ばれるからびっくりした……




男の子から下の名前で呼ばれるなんて久しぶりだなあ。




なんだか、少しくすぐったいな……




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