空に舞う桜
失敗しないように、失敗しないように……
「……おい」
「は、はいっ!」
ビクッと体を揺らして振り返ると、土方さんが腕を組んで後ろに立っていた。
「茶を淹れろ、2人分」
「え、あ、はい」
えーっと、お茶の淹れ方は……
「あれ」
「どうした?」
お茶の淹れ方って、どうするんだっけ……
「えっと……」
家庭科でやったはずなんだけど……
やったの小学生の頃だから、うろ覚えだし……
でも、出来ないって言うのはもっと怒られる気がするし……
「おい、どうかしたのか」
「えっと、あの、その……」
正直に言うべき?
でも、こんなのも知らないのかって怒られるかもしれない。
かといって、ハチャメチャなものを作るわけにもいかないし……
オロオロしていると、土方さんがため息をついた。
「お前、何考えてるか分からねえな」
「え……」
その言葉に、私の思考が全て止まった。
そんな私を横目に、土方さんは1人分のお茶を淹れて行ってしまった。
その後も、私は動けず、その場に立ち竦んでいた。
『何考えてるか分からねえな』
……また、言われてしまった。