空に舞う桜


失敗しないように、失敗しないように……




「……おい」




「は、はいっ!」




ビクッと体を揺らして振り返ると、土方さんが腕を組んで後ろに立っていた。



「茶を淹れろ、2人分」




「え、あ、はい」




えーっと、お茶の淹れ方は……




「あれ」




「どうした?」




お茶の淹れ方って、どうするんだっけ……




「えっと……」




家庭科でやったはずなんだけど……




やったの小学生の頃だから、うろ覚えだし……




でも、出来ないって言うのはもっと怒られる気がするし……




「おい、どうかしたのか」




「えっと、あの、その……」




正直に言うべき?




でも、こんなのも知らないのかって怒られるかもしれない。




かといって、ハチャメチャなものを作るわけにもいかないし……




オロオロしていると、土方さんがため息をついた。




「お前、何考えてるか分からねえな」




「え……」




その言葉に、私の思考が全て止まった。




そんな私を横目に、土方さんは1人分のお茶を淹れて行ってしまった。




その後も、私は動けず、その場に立ち竦んでいた。




『何考えてるか分からねえな』




……また、言われてしまった。




< 73 / 128 >

この作品をシェア

pagetop