空に舞う桜


山崎さんが言ってたこと、まんまだった……




「急須、は分かるだろ。

 それに、そこにある茶葉入れて、湯をそそぎゃあいいんだよ」




「え、は、はい!」




慌てて急須と茶葉に手を伸ばす。




「あの、茶葉はどのくらい入れればいいんですか?」




「んなもん、テキトーに入れりゃいいんだよ」




「ええ……」




とりあえず、少しだけ茶葉を入れて、お湯を注いだ。




湯飲みを2つ用意して、1つずつお茶をついだ。




「どうぞ」




土方さんに1つ差し出すと、彼は受け取ってすぐ口をつけてくれた。




「……うまいじゃねえか」




「ホントですか?!ありがとうございます!!」




「……お前のいた世界じゃあ、茶は淹れねーのか」




「え?」




「淹れ方が分からねえって事は、茶を飲む習慣がねえのかと思ってよ」




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