空に舞う桜
「あ……いえ、そんな事はありません。
私もよくお茶飲みますし……ただ、毎回こんな風にお茶を淹れる作業はしません。
すでに作られたお茶が売られてて……」
「はあ?!
それじゃあ、あじが出ねーじゃねえか!!」
大きな声に、私は思わず体を強張らせた。
び、びっくりしたあ……
「あ、味はちゃんとついてますよ……?」
「そうじゃねーよ。
あー、なんて言ったらいいかな……」
ガシガシと掻き毟った髪が、少し乱れている。
土方さんは、私の方をチラッと見て言った。
「そいつらしさ、って言えばいいか。
総司の淹れたやつはやたら濃いし、斎藤のは渋い。
そういう風に1つ1つ手作業で淹れたやつには、そいつらしさが現れる」
なるほど、そういう意味でのあじだったんだ。
「土方さん、私のはどんなあじですか?」
ワクワクする期待と、少しの不安。
ドキドキ高鳴る鼓動と共に、私は土方さんの返事を待った。
すると、土方さんは湯飲みをジッと見て、ポツリと言った。