僕はそれでも恋をする
こんな気持ちになるのはいつぶりだろう。
家に着いても、ご飯を食べていても、お風呂に入っても。
私の頭の中にキミがいる。
懐かしいな、この気持ち。
「は、はは……キミと話したい、かぁ」
まるで、あの時の子どもみたい。
「嬉しかったんでしょ」
「…………」
嬉しかった……のかな。
でもなぜか、涙が出そうだった。
なんだか懐かしいような。
「良いじゃん。別に好きでも」
「!?」
フミちゃんは、時々凄く恐い冗談を言う。
「好きになったらいけないなんて、好きじゃなきゃ思えないんだよ。好きじゃないなんて、好きだから否定するんだよ」
「……フミちゃん」
でも、私は昨日……
「とぅっ!!」
「ギャッ!! 痛ッたぁい!!!!」
フミちゃんの飛び蹴りが私の横腹に……
吐きそう。
「いつ知り合ったとか、そういうのも気にするな。あんたは真面目すぎるんだよ。何年も一緒にいて好きになるのが偉いの? 一目惚れはその人の第一印象が自分の心を揺さぶった、凄く素敵な事だよ」
フミちゃんが、神様に見えた。
「良いじゃん、これからどんどん知っていけば。あんたはこれからいくらでも柳瀬の事を知れるチャンスがあるんだよ。最初から知ってたら、面白くないよ」
一目惚れ……。
そっか、私……一目惚れしたんだ。
あの、天使みたいな笑顔に。
もう何年も塞がって出てこなかった、私の恋心。
「……ふ、ふふふ」
「……あんたが笑うと気持ちが悪い」
そう言うフミちゃんの笑顔。
私の笑顔。
「フミちゃん、ありがとう。私、頑張ってみる」
叶わなかったあの頃。
でも、今は今だ。
何か、変わるといいな。