僕はそれでも恋をする


「おはよう渚、文」


「なぎー! フミちゃんおはよう!」


いつもの朝。


みんなの声。


晴れた青空。


ひとつだけ違う今日。


「早川さん、おはよ」


あの笑顔。


「柳瀬君おはよう」


やっぱり、可愛いなぁ。


「そうだこれ、はい」


「え?」


柳瀬君に手渡されたのは、あの黒猫の写真。


「これって……」


「早川さん、ニラ子の写真撮りたかったって言ってたから。可愛いよね」


……もしかして、私の為に。


はっ!!!! また私は自惚れて…!!


「ね、ねえ……ニラ子って、あの子の?」


「うん、名前だよ。去年の秋に学校に迷い込んできたのを拓海と見つけたんだ。だから、ふたりで付けたんだ」


なんでニラ子なんだろ……


「どうして、ニラ子にしたの?」


「思いつきだよ」


「へ?」


なんの悩みもなく適当に!?


「覚えやすい名前にしようって、思いついた名前。ネーミングセンスないよね僕達」


はははと苦笑いを浮かべる柳瀬君。


あぁダメだ……
私はこの笑顔が苦手。


クラクラしてしまう。


「早川さんは、猫好きなの?」


話したいけど、話したくない。


今にも倒れてしまいそうになる。


なんて、大げさかな。


「うーん、私は……そうだね、猫、好きだよ」


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