僕はそれでも恋をする
って、どこのアニメのヒロインよ私はぁー!!!!
「あぁぁぁ!!!!」
「うわっ、ちょっとびっくりさせないでよ渚!」
5限目の授業は、何だっけ。
さっきから、校庭での出来事が私の脳内を駆け巡っている。
柳瀬君……じゃない、春人が言った言葉。
いや、でもこれはおかしくないか?
いくらなんでも、進展が早すぎる。
好きな人と名前で呼び合うなんて、こんな奇跡的な事が簡単に起こっていいのだろうか?
「何を頭悩ませてるの?」
「渚ってば、まさか恋する小鳥なの!?」
馬鹿な友人の言葉はほっておこう。
無視無視。
「ねえ……フミちゃんどうしよう私……」
明日死ぬかもしれない。
「あんた明日死ぬかもね」
「ええぇぇぇっ!!!! 嫌だそんなの絶対やだぁ!! 私はなんの罰を受けているの!?」
「盗撮」
うっ……それは否定できない。
「冗談よ。今度は何に悩んでるの」
フミちゃん、ちょっと怒ってる……?
「あ、わかった! TKGでしょ! 何かけようか迷ってるならこのアタシに任せなさい!」
「チヨは黙りなさい。で、何?」
「そ、それが……なんていうか、上手く行き過ぎてる……というか」
私の期待通りすぎる、というか。
「何だ、そんな事。あいつはあんたの事好きじゃないよ」
「……え」
なに、それ。
「あいつ、好きな子いるみたいだし。自惚れすぎたら、いつか痛い目に遭うよ」
だからって、なんでそんな事……。
別に、私の事が好きなんて、思ってないし……。
でも酷すぎるよ。
フミちゃんは応援してくれるんじゃなかったの……?
そんな、突き放すような言葉。
「しなくても……」
私の時間が、また止まった。