僕はそれでも恋をする
僕の大好きな人
あれから、椎名君と別れて家に帰宅したは良いけど、結局まともに眠りにつくことができなかった。
全部、柳瀬君のせい。
あー眠い……。
「あ! 渚ちゃん、おはっ……よう?」
状況反射というものは自分でも驚くほど体が瞬時に動いている。
私が振り返り目が合った人物が、なぜか電柱の後ろに隠れてチラッと顔を覗かせた。
「……お、怒ってる……?」
「……え」
そんな怒った顔してるのかな?
でも、少し怯えた姿がなんだか可愛い。
「怒ってないよ?」
1つ苦笑して、困った様子の彼にそう言った。
すると、ひょこっと電柱から出てきて私の元へ歩み寄ってくる柳瀬君。
「ははは、柳瀬君って結構臆病だったりするの?」
「えっ……いや、臆病、じゃないよ」
恥ずかしそうに顔を逸らす柳瀬君が可愛らしくて、今にも抱き締めたい衝動に駆られる。
母性本能をくすぐられるって言うのかな……。