僕はそれでも恋をする


「なっちゃん、何かあったの?」


「……いや、なんでもないよ。あはは」


遊園地、行くのやめようかな……。


「そういえばさ、なっちゃんって好きなんだよね?」


突然、私の耳元でチトセちゃんがそう囁いた。


「……お化け屋敷嫌いだよ、私」


「あっはは、違う違う。柳瀬君のこと」


悪戯に笑いながら言うチトセちゃんがアニメの小悪魔王女に見えた。


「……別に」


好きだから、何だというのかな。


宣戦布告でもしてくるのだろうか。


「隠さないでよー。あたしね、協力するから」


「は?」


き、協力? 何を言ってるのこの子は。


だって、普通ならここは私とチトセちゃんがライバルで柳瀬君を奪い合う……というより、柳瀬君とチトセちゃんが両想いで私が悲劇のヒロインというパターンじゃないのかな。


「だからね、なっちゃんと柳瀬君が2人きりになれるようにするってこと!フミちゃんもそのつもりだろうし」


「……チトセちゃんは」


「ん?」


「チトセちゃんは、好き……じゃないの? 柳瀬君の事」


柳瀬君も、女の子にモテるタイプだし。


美男美女で、きっとお似合い。


「いや、あたしは好きじゃないよ」


「へ?」


あまりにもサラッと言われて驚きが隠せない。


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