僕はそれでも恋をする
「あーなら、早川さん僕の食べなよ」
「え?」
柳瀬君は、あまり機嫌が良くなさそうな顔をして、私にそう言った。
「そうよ、柳瀬いっぱい頼んでるんだし食べたら?」
「柳瀬くん優しい〜」
冷やかすような女子軍の楽しそうな声色。
柳瀬君って、何を考えてるんだろう……。
「わ、私大丈夫だよっ」
「いや、僕いっぱい頼んじゃって食べきれないから、早川さんにも食べて欲しい。駄目、かな?」
不機嫌そうな表情とは打って変わって、困った顔でこちらを見てくる柳瀬君にキュンとしてしまった。
「あ……うん、分かった」
私、打たれ弱すぎる。
「ねね、この後さ、ジェットコースター乗らない?」
そう言ったのは、今一番楽しそうなチトセちゃん。
ジェットコースターは私も好き。
あの浮遊感は気持ちが悪いけど、大声で叫びながら乗るのは本当に楽しかった。
「だな。ジェットコースター乗ろう!」
「私も、乗りたいかも」
皆が賛成したであろうその時、料理を黙々と食べていた柳瀬君が口を開く。
「ぼ、僕は……遠慮するよ。ジェットコースター」
「「「「「え……?」」」」」
全員一致の驚きの一声。
「なんで?」
「……ご、ご飯食べたらお腹いっぱいになったから」
「嘘。柳瀬くん、そういえばジェットコースター苦手だっけ! 小5の時ジェットコースター乗って泣い」
「わああああ!!!!」
「……」
柳瀬君が、ジェットコースター苦手……!?
か。
可愛すぎる……!!