僕はそれでも恋をする
「――あぁ~! 楽しかったね!」
約10分ほどの短い時間はあっという間に終わってしまった。
「ジェットコースター久しぶりだけど、結構楽しいね」
「だな!」
みんなが元気に喜んでいる中、ベンチに顔を伏せてダウン状態の柳瀬君。
乗っている間、ずっと力いっぱいに私の手を握っていた。
そんなに苦手だったんだ。
「柳瀬君? 大丈夫……?」
「……丈夫」
声が震えていて、大丈夫じゃない事を察した。
「この後、自由行動みたいだから。ちょっと休むと良いよ」
て私は何を言ってんだろ。
お母さんみたいなことを……。
「……わさん」
「ん?」
柳瀬君が何か言った気がして聞き返すと、伏せていた顔が上がる。
「早川さん……もいてよ、ここ」
不意打ちというか、何というか。
柳瀬君は、ずるい。
どうして、そんな風に私を惑わせるの。
「……ふふ、良いよ。私もここにいる」
本当に柳瀬君は……ずるい人だ。