僕はそれでも恋をする
あれから、チトセちゃんは高山君を連れてどこかに行ってしまい、フミちゃんと椎名君はいつの間にかいなくなっていた。
チトセちゃんが言っていた通り、私と柳瀬君が2人きり。
こんなに、ドキドキするなんて。
柳瀬君は少し落ち着いたみたいで、ベンチに座り直している。
私は、柳瀬君と距離を空けてベンチに座っている。
真隣なんて、とても座れない。
「……ねえ」
「っ!! は、はいっ」
ちょっと私ってば、どんだけ動揺してるの!
これじゃあ、私が緊張してること柳瀬君にバレちゃうじゃん……。
「なんで、隣に座らないの? ……そんな嫌?」
「……あ、えと……その。嫌ではない、けど」
ドキドキするから、気づかれるから、無理。
「早川さん……僕の事うざいって思ってる?」
「え? な、ななんで?」
「だって、なんか一緒にいても微妙だし、それに名前……」
名前……。
あ。
「嫌なら言ってくれたら良いのに。さっきだって、手握っても嫌だって言わないし、そういうの、はっきりしてくれないとムカつく」
「…………」
ムカつくって、言われた……。