僕はそれでも恋をする
「て、ていうか渚! 前から思ってたけど、それ褒めてるの? 貶してる? 可愛いとか……嬉しくないんだけど」
つ、ツンデレ……?
何これ、私、天使と付き合ってる……!
「うへへ、春人かわいぃ」
「っ……だから、可愛いってなに! 僕はカッコ良くなりたいのに!」
「可愛いは最高の褒め言葉だよ春人! 私、かっこいい人より可愛い人が好き!」
嘘。ほんとはイケメンが大好き。
「嘘だ! 渚の好きな基準分かんない!」
私も、正直こんな美少年系統の男子は恋愛対象じゃなかった、はず。
「な、なんだろうねー…、なんか分からないけど春人といるとドキドキしちゃうっていうか」
「……いいよ、もう。早く、行こうよ」
そう言って、春人が手を差し出してきた。
……手? つないでも、いいの?
確認しようと顔を上げれば、あの時のように顔を真っ赤にさせた春人と目がバチりと合ってドキッとする。
あれ、春人。やっぱり私と同じ、なのかな。
「もう、こういう話するの禁止だからね」
「えぇ〜、私は嬉しいけどなぁ」
「一々話さなくても良いじゃん! 渚ってほんと変」
「変って……。春人だって!」
今まで普通にしていたこんな何気ない会話でも、今はすごく愛しいと思える自分がいる。
恋って、やっぱり楽しい。