僕はそれでも恋をする


「あー! 楽しかったねえ!」


こんなにも早く時間が過ぎるなんて。


夕方、初デートにたくさん詰め込んではしゃいだ私達はしみじみと感じながら人気の少ない公園で立ち止まる。


カフェに行って、私のわがままでプリクラを撮って。



ふふ、女子と撮るのが初めてで恥ずかしがっていた春人が可愛かった。


ゲームセンターでUFOキャッチャーも。


私が苦戦して600円を使っても全く微動打にしなかったのに、春人はたった1回で私の欲しかったぬいぐるみを取っちゃうからちょっと悔しかったな。


朝はどうなるかと思ったけど、すっごく楽しかった。


「渚」


「ん?」


「なんか、今日ごめん」


!?


ここに来て、突然しゅんとして謝るから驚きが隠せない。


な、何がダメだったんだろ。


私は、楽しかったんだけどな……。


「ど、どうしたの急に」


「んー、今日ほんとに楽しかったのかなぁって。僕、デートとかしたの初めてだし、何すれば良いのか全然分からなくて言い訳してたけど……」


え、初めて……なの?


というか、春人色々考えてたんだ……。


それって。


「すっごい嬉しい」


「……え?」


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