僕はそれでも恋をする


「朝から春人の事分からないなぁってちょっと悩んでた。私ばっかりドキドキしてるのかなって。でも、春人もドキドキしてくれてたってことだよね……?」


自惚れなのはいけないかもしれないけど、春人はきっと私と同じことを考えていた気がする。


それを肯定するように、春人は俯いて小さく首を縦に振る。


「僕、そんな慣れてるように見える……?」


……うん、とは言えない。


だって、あんなに何ともなさそうだった春人が私と同じだなんて。


「朝から、何すれば良いのか分かんなくていつも通りにしてみたけど、渚が本当は楽しくないんじゃないかなって思って、すごい焦った」


「そ、そうだったんだ……」


春人、演技のプロ?


でも、私と同じなら話は早いよね。


「ふふ、良かった。全部解決」


「……?」


「私も、楽しかったよ。すっごく。春人の笑った顔見れて……嬉しかった」


「…………」


「もう帰ろっか。ゴールデンウィークって楽しいね! また行こうね春――」


名前を呼びかけた私は、一瞬足を踏み外しそうになった。


春人が私の腕を掴んで、突然抱きしめてきたから。


「……ッ!!!?」


え! て、なんて展開…!!?


私より少しだけ背の高い(といっても他の男子と並ぶと小さいけど)春人が、私の腰に腕を回してぎゅっと抱きしめてきた。


もう、心臓がもたない。

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