僕はそれでも恋をする


やっぱり柳瀬君は天使の証拠…!!!!


「柳瀬君、キミは私の天使だよぉ! そんなに褒められるなんて嬉しいなぁ!」


「ふふ、早川さんは笑うと凄く可愛いね」


お世辞なのは知ってる。


自惚れなのも分かってる。


でも――――その時見せた柳瀬君の笑顔は、紛れもなく本物だと分かった。



「ねえ、帰らないの? ナギ」


あれから、もう放課後。


時間っていうのは、早くなったり遅くなったり。


なんでこんなにも、人間の心に左右されるのかと。


「……柳瀬君、もう帰っちゃったのかな?」


あれ? なんで私、柳瀬君の事考えてるの……


「へえ、やっぱり好きなのねあんた」


「!? ち、違うって!! 今日初めて会ったばかりなのに、好きなわけ……」


「好きです付き合ってください!!」


…………え、ええ!!?


突然の事に死ぬかと思ったくらい心臓が驚いた。


クラスメイトの男子が突然大声で告白しながら教室に入ってきた。


…………幽霊に恋をしているのかな?


「うぉ! 早川に桜! まだ人がいたのかよ!」


「……そんなやつだったのね。引いたわ、椎名」


確か名前は、椎名拓海くん。


「いやいや待て! 今のは気のせいだ! お前らは何も見てないという事にしておけ!」


なんて矛盾。


「はははっ、拓海。おかしな人間にも程があるよっ」


ドキッ。


椎名君ではない、その声。


……いや、ちょっと待て私。


なんでドキッて。なんでドキッて!


椎名君の後ろからひょこりと顔を覗かせたのは、私が気にしていた人物。


「2人とも、まだいたんだ」


私の……天使。


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