僕はそれでも恋をする


「私、春人の事ずっと見てたけど、目が合う事が少なくてちょっと落ち込んでたよ……」


だって、春人はいつも他の女の子を見ていて……。


「ずっと見てた……って、ほんとに?」


「あ、う、うん」


私ってば、めちゃくちゃ恥ずかしい事言ってるし!


「……なら、登校日。ここに来てよ」


「え?」


照れていた表情がガラリと変わり、キリッと私を見据える瞳。


その瞳には、金縛りを引き起こす力でもありそうだ。


「一緒に、行こ。学校」


緊張しているのか、それとも強制的にそうさせようとしているのか、春人の目が怖い。


「…………うん」


もし頷かなかったら、どうなるんだろ。


ホッとしたように、春人の目元が一気に緩む。


こ、怖。


春人ってたまに威圧感あるんだよねえ……。


好きだから、否定する気は無かったけど。


でも、あんな顔をされると私が何か悪い事をした気分になる。


そんな目をしなくても、私は否定したりしないのになぁ。


「渚、男子に人気あるし、ドジで無防備だし、天然だし、無自覚だし色々不安になる」


……ひどい言われよう。


「男子に人気あるっていうのは気のせいじゃないかなぁ……? 私なんかより可愛い女の子たくさんいるし。それに」


男子に人気があるのは、チトセちゃんだろうし。


「そういうとこが無自覚なの。……誰にも渡さないけど」


私が無自覚なら、春人はもっと無自覚で天然だと思う。


なんでそんなドキドキすることを平気で言うかな。


本当に私が初デートなのかな……。


「あ、お腹空いたからどっか食べに行こ?」


「ぷっ……春人って子供みたい」


「ん、子供言うな。渚より大人だから」


「私の方がお姉さんらしいと思うな〜」


「どこが? 早く行くよ」


ツンデレな春人も可愛いな。


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