僕はそれでも恋をする
廊下に出たところで、柳瀬君の声に足が止まる。
でも振り返れない。
何を言われるんだろう。
「な、なに……?」
恥ずかしい。自惚れていた。
私の言葉に、柳瀬君は傷ついたんじゃないかなんて。
そもそも、そこまで私に興味なんてないはずなのに。
だって私は、柳瀬君に良いところを見せられていない。
私は……
「明日、また話そう」
「え……」
思わず振り返ってしまったじゃない。
柳瀬君ってよく分からない。
「僕は、キミと話したいから」
あぁ、なんだろう。
既視感ってこういう事だ。
柳瀬君の笑顔は、私の涙を誘う。