僕はそれでも恋をする
君の笑顔
柳瀬君の笑顔。
携帯の液晶に映る、無邪気な笑顔。
うそつき。
私なんかより、何百倍も柳瀬君の笑顔の方が可愛いじゃん。
どこにも傷が無くて、どこまでも純粋な素顔。
「可愛い……」
「なんかあんた、変態みたいね」
私の世界はそこで滅亡した。
「きゃあッ!!!! ふふふフミちゃん!!!?」
いつの間にか、フミちゃんが隣を歩いていた。
「いつの間に……」
「いや、さっきから名前呼んでるのに返事しないから、わたし幽霊でも見ちゃったのかと思ったよ」
全然気付かなかった……
「何を考えているかと思えば……盗撮した写真をニヤニヤと見て歩いているなんて、犯罪者ね」
「に、ニヤニヤ!? そんなことしてないよ!」
私は断固否定する!!!!
「二ヤついてたよ。どっかのオタクみたいに“可愛い“なんて独り言言っちゃって」
「あぁぁぁ!!!! 聞かなかったことにして!! そうだよ、フミちゃんは幽霊を見たんだ!! それ私じゃない!!」
「……はいはい。別に言わないよ本人には」
「本人には!? 本人以外には言う気なの!? ねえ、フミちゃんでもそれは許すまじ行為!!」
心臓が、うるさい。
「あーうるさいなぁ、言わないって。言ったらあんた友達いなくなりそうだしね」
「……最低だ、フミちゃん」